① 刃物の視点から
弊社の丸ナイフは、全体にしっかりと熱処理を施しているため、理論上は最後まで(刃がほぼ無くなるまで)使用可能です。ただし、多くのお客様は、刃の「シノギ=傾斜部分」が半分程度まで減った時点で廃棄される傾向があります。これは、切れ味や作業効率を保つためです。
② 機械の視点から
機械の調整がポイントです。刃が大きい状態では、材料を一度でしっかり切り切ることができます。しかし刃が小さくなると、切断が途中までしかできず、切り切ることが出来なくなります。弊社の経験では、業種や機械のタイプによっても異なりますが、直径が10~20mm小さくなると多くの方が新品に交換をされています
Q. 刃物の交換タイミングは?
① 切断面の確認
切れ味が良い丸ナイフは、非常にきれいな切断面を作ります。しかし、切れ味が落ちてくると、切断面が粗くなり、バリ(材料の端にできる突起物)が発生するようになります。交換の基準は各社で異なるため、社内で「どの程度の切断面で交換するか」の基準を設けておくことをお勧めします。
② 切断時の音や匂い
通常、切れ味が良いときは、切断音や匂いは特に気になりません。しかし、刃が鈍くなると機械に負荷がかかり、切断音が大きくなったり、摩擦熱で異臭が発生することがあります。いつもより切断音が大きく感じたり、匂いを感じた場合は、交換を検討するタイミングです。
③ カット数や交換日の設定
刃物の交換時期を決めていないと、刃に過剰な負荷がかかり、欠けや割れの原因になります。カット数や交換日を決めておくことで、生産中に突然の交換作業が発生せず、スムーズに交換ができます。例えば、「300カットごとに交換」「毎日の作業終了時に交換」「1週間に一度交換」など、あらかじめルールを設定すると安心です。
Q. 何回再研磨できるの?
再研磨の回数に明確な制限はありませんが、研磨ごとに刃が少しずつ削れるため、刃の直径が減少していきます。
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弊社では通常、1回の再研磨で約1㎜削ります。
例えば、直径250㎜の丸ナイフを使用している場合、1回目の再研磨で直径は249㎜に、2回目で248㎜といった具合に減っていきます。この場合、直径が230㎜まで使用できるとすると、最大で20回の再研磨が可能です。 -
使いすぎに注意!
刃が摩耗しすぎると、1㎜程度削るだけでは十分な切れ味が戻らないことがあります。そうした場合、弊社では2㎜程度削ることもありますが、その分再研磨の回数は減り、例えば直径250㎜のナイフでは、10回の再研磨しかできなくなります。 -
トータルで考えることが大切です
多く削るほど、再研磨の費用も上がりますので、最適な研磨回数と費用を考慮していただくことが重要です。適切なタイミングで再研磨を行うことで、コストを抑えつつ、刃物の寿命を延ばすことができます。
Q. シノギ(テーパー)の役割は?
シノギ(テーパー)は、刃先の傾斜になっている部分のことを指します。このシノギには、以下のような重要な役割があります。
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切断時の負荷軽減
切断時、刃物と切断ワークが擦れ合い、摩擦が発生します。この摩擦による負荷が大きいと、丸ナイフの回転が止まってしまい、うまく切断できません。また、摩擦が強くなることで熱が生じ、刃物がまっすぐ回転しなくなり、振れが発生します。振れが起こると、切断面が荒れ、最悪の場合、刃物が破損することもあります。 -
シノギを取ることで摩擦を軽減
シノギを適切に取ることで、切断時の摩擦を減らし、刃物への負荷を軽減します。その結果、摩擦熱の発生を抑え、安定した切断が可能になり、良い品質の製品を作ることができます。 -
注意が必要な点
ただし、シノギを深く取りすぎると刃物の強度が不足し、逆に振れや破損の原因になることもあります。刃物の直径や厚み、切断するワークによって、シノギの適正な長さが異なるため、専門的な知識を持つ業者に相談することをお勧めします。
現在お使いの丸ナイフについても、シノギの調整が必要かもしれません。お気軽にご相談ください。